高校 理科 【新しい光学装置を発明しよう】
大手前高松中学・高等学校
合田 意
新しい光学装置を発明しよう!
光波の単元で学習した凸レンズ・凹レンズ・凸面鏡・凹面鏡・平面鏡を色々と組み合わせて、「見る」に関するお困りごとにつながるような新しい発明を狙った授業です。
シンキングツール活用のポイント
「見る」に関するニーズをウェビングで書き出します。
データチャートで、凸レンズ・凹レンズ・凸面鏡・凹面鏡・平面鏡から3つずつ選んで好きに組み合わせを考えます。これにより今まで考えもしなかったような現象が見つかることを狙っています。
リフレクションは情報分析チャートで行います。自分で意識したことと、もらったフィードバックとの差異から、自分のアイデアをより洗練させていくために何が必要なのかを考えます。
授業全体の流れ
https://gyazo.com/6cc5c1a6a3360c71a3190ac1e3c742dd https://gyazo.com/57dcf27c701ecba0177f9d0002648749
Step(1) 既存の知識の整理
既に学習している凸レンズ・凹レンズ・凸面鏡・凹面鏡・平面鏡の特徴をPMIを使用して整理します。
https://gyazo.com/29f5eea69489a509ea953f9f506e155c
Step(2) 組み合わせレンズについて学習
教科書の発展的な内容である組み合わせレンズについて学習します。
このタイミングでレンズを組み合わせると様々な現象が起こり、それを活用しているものが身の回りにたくさんあることを知ります。
また、凹面鏡を2枚組み合わせたおもちゃも紹介します。
Step(3) 「見る」ことに関するニーズの分析
ウェビングで「見る」ことに関するお困りごとや「もっと〇〇」を思いつく限りたくさん書き出します。このあとダイヤモンドランキングに切り替えて、ニーズに優先順位を付けます。これを提出箱に提出して、回答共有でシェアし、世の中には様々な「見る」ことに関するニーズがあることを知ります。
あとあとこのニーズが、Step(4)で行うこととリンクすることでイノベーションが生まれることを狙っています。
https://gyazo.com/8c6d98a569870b6acf4fc9ec64f5dd92
Step(4) レンズや鏡を組み合わせて何が起こるかを試行錯誤してみる
凸レンズ・凹レンズ・凸面鏡・凹面鏡・平面鏡から適当に3つずつ選んでデータチャートの縦軸と横軸に配置します。この組み合わせでどのような光学的現象が起こるのかを考えます。レンズ同士の距離によって起こる現象が変化する場合もあるので、じっくり時間を取っていろいろと試してみることが大切です。
このシートも提出箱に提出して、回答共有します。他の人のシートから着想を得ることも可、とします。
https://gyazo.com/d101e68d294d1f8e58b016bdda4ac556
その後、キャンディーチャートに、鏡やレンズのどんな組み合わせが、どんなお困りごとを解決しうるかについてまとめていきます
https://gyazo.com/d04e5a0707db435f6e46a2208845d4d0
Step(5) 製品提案書を作成する
Step(3)とStep(4)で考えたことを結合させることで、新しい製品を生み出します。Step(4)で考えた「何に役立つかよくわからないけどこういう現象が起こるみたいだ」ということと、Step(3)で考えた「こういうことに困っていて解決できないかなぁ?」をつなぎ合わせることで、新しい製品が生まれることを期待しています。
また、時間的に余裕があればこの提案書を元にプレゼンテーション(会社における新商品企画のプレゼンのような)大会をしてもおもしろいかもしれません。
https://gyazo.com/e52d25c531cd8e11b86a5482ff7b9855
Step(6) 相互フィードバック
回答共有している製品提案書について、指定された人数分のフィードバックシートを作成します。
ルーブリックも活用します。
https://gyazo.com/c16ed20d84299db47eb13eeefae9e45b
Step(7) リフレクション
情報分析チャートを使用し、リフレクションを行います。
自分としては意識したこと、と、他者からもらったフィードバックとを相対化させることで、新しい観点に気づき次につながるような成長をしてくれることを期待しています。
https://gyazo.com/d85a36eecab017cb1f3bf226c4b98f74
補足
「発明」というのは少しハードルが高いように思えるかもしれませんが、新しいものを生み出そうとして挑戦するというところに価値があると考えています。普段の授業では「解けたか」「解けなかったか」が重要ですが、この授業では「いいものが発明できたか」「できなかったか」ではなく、「ワクワクして楽しめたかどうか」を最重要観点に据えて授業を進めることが肝要だと思っています。